優雅な生活の設計と実装

The Design and Implementation of the Gracious Days


LAST MODIFIED: 2004/10/30 18:36:51 UTC

新しい秩序の確立は、他の何にも増して難しく、
成功する可能性が低く、危険な事業である。
改革者は旧秩序から利益を得ている
全ての者を敵にまわし、
新秩序から利益を受けるはずの者からは
及び腰の支持しか集められない。
--- Niccolo Machiavelli, The Prince

この種の「保護」は初心者を保護するかも知れないが、
熟練ユーザを窮地に追い込むことになる。
というのは、何が親切であり、何が適切でないかかという
オペレーティングシステムの考え方の裏をかくことばかりに
かなりの労力を費やさなければならないからである。
--- A.S.Tannenbaum, Modern Operating Systems


不定期更新の日記です。ディスクスペースの関係上、 あまりに古くなったものは順次消していきます。 この日記の更新は、今野さんの *BSD Diary Links から取得することが可能です。

October 2004

感想はこちらまで (内容は匿名のメールで送られます)

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注: お返事が必要な場合は直接メールください。 ただし、確実にお返事するかどうかはわかりませんのであしからず。

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Saturday, October 30

* teTeX

FreeBSD の TeX 関連 ports を修整中。 前に書いたものからいくつか状況が変わってきているのでメモしておきます。

まず、print/teTeX-latex2e を追加して LaTeX を 2003/12/01 ベースのものにしました。print/teTeX か japanese/teTeX を使っている人は、アップグレードすれば自動的にこれになります。 print/teTeX-latex2e をアンインストールすれば、古いものに戻ります。 今のところ、textproc/foiltex が build できなくなった (現在は修正ずみ) という問題を確認していますが、ほとんどそのまま使えると思います。

japanese/ptex-tetex は pTeX 3.1.4 に更新しました。 こちらも LaTeX 2003/12/01 ベースで構築されるようになっています。 japanese/xdvi* と japanese/dvips* を整頓して、 japanese/xdvik と japanese/dvipsk に一本化しました。

japanese/platex209-* は japanese/platex209 に一本化しましたが、 もう少し調整が必要です。とりあえず、 問題なく使えるレベルにはなっています。

日本語 TeX で使う texmf.cnf の置き場所を $TEXMF/web2c-ptex に変更し、 dvips や xdvi も、そちらを優先的に見るようにしました。 同様に、$TEXMF/dvips-ptex, $TEXMF/xdvi-ptex を追加して、 日本語固有のファイルをそこに置いています。詳しい設定は、 $TEXMF/web2c-ptex/texmf.cnf をご覧ください。 「-ptex と付いたディレクトリがあれば、 その中を優先的に見る」というルールを加えてあるだけなので、 今までと同じ使い方も可能です。

dvips の日本語フォント設定を、teTeX の標準に近い形に変更しました。 よく見る解説では、日本語設定の際に「config.ps に kanji.map を追加する」とか、実際に標準でそうなっていることが多いのですが、 teTeX では $TEXMF/web2c/updmap.cfg にマップファイルを定義して、 updmap というツールで psfonts.map を再生成させるのが普通です。 ただ、日本語用の設定とオリジナルの設定が混ざるといろいろ面倒な問題が発生するので、 japanese/ptex-tetex では、pTeX 用に $TEXMF/web2c-ptex/updmap.cfg と updmap-ptex というツールを用意しました。デフォルトの $TEXMF/web2c-ptex/updmap.cfg には、 英語版の updmap.cfg に加えて ptex-kanji.map を読み込むための設定が追加されています。 手動で config.ps を変更する必要はありません。

print/teTeX-base に CAN-2004-0888 の対応を入れました。 影響は大きくないのですが、アップグレードをおすすめします。

今後は、fmtutil(1) への対応や、pLaTeX の babel package 対応の追加などを整備する予定でいます。 もし動作がおかしいなどの症状がありましたら、お知らせください。

* 5.3-RELEASE Errata

とりあえず分かっているものをまとめました。 もし他にあったらぜひ教えてください。 もちろん日本語でも構いません :-)

* cvsync 0.24.17

出ました。 OpenBSD Project の宣伝効果もあってか、だいぶサーバ数も増えてきてます。 ここ半年くらい、まったくトラブルなしで安定動作中。 すばらしい。

Tuesday, October 26

* add recent entries

8 日以降の項目を補完。

* FreeBSD 5.3-RELEASE

火曜日に出すよ、ということで頑張ってたところ、 大きな問題がさらに発見される。scottl は 26 日に EuroBSDCon に向けて移動するとか言っているので、 やっぱり 11 月頭までずれこむ可能性が高いかも。

ちなみに、em(4) と re(4) と sk(4) を使っている人は、 高負荷時に性能が出ないという報告が来てます。 極端なものではありませんが、それぞれ調査中です。

また、pf と ipfw にある、UID や GID を使ったルール指定は debug.mpsafenet=1 の環境では使えません。 マニュアルページに書いてありますので、熟読しましょう。 使うとシステムがハングアップする可能性があります。 debug.mpsafenet=0 にしないで、 「動かない」とかバグレポートを送らないようにご注意。

システムによっては、burncd がおかしくなるかも知れません。 動作は正常なのですが、進行状況が正しく表示されなかったり、 書き込みが終了しているのに burncd がいつまでも終了しないままになったりします。 ドライブのアクセスランプが消えているのにそういう症状が出ている場合は、 CTRL-C を押すと終了させることができます。こちらも調査中。

このへんの話は、近日中に errata に書く予定。

* kernel@dragonfly

をを。Liam Foy が committer になってる。 うまい具合に若者集めてるなぁ :)

Sunday, October 24

* KOF2004 + BSD Conference Japan 2004

23 日は朝から大阪に移動して、夕方に東京に戻るという強行軍。 東京発は 6:00。

9:00 に最寄り駅に到着。10:10 から BSD Conference Japan 2004 で FreeBSD Updates を話した後、翻訳者 BoF の会場に行く。 思ったより参加人数が多くてびっくり。

前回からの継続参加者は少ないようだったので、 前回話し合われた内容をまとめた資料と、doc project の立場から見た翻訳者、というテーマでまとめた資料を使って話す。 寝不足でしゃべってたこともあって、 どうもうまい具合に話を展開できてなかった感じ。 もう少しフォーカスを絞らないと、 せっかく議論できる場をムダづかいしてしまう。 もうちょっと準備しておくんだったなぁと反省。 ごめんなさい。資料とか、 話し合った内容とかはちゃんと公開できる形にまとめます。

本にサインください、と頼まれていた方がひとりいらっしゃったのですが、 再度お会いするチャンスがなくて、結局サインすることができませんでした。 どうもすみません。もし今度どこかでお会いする機会があったら、 つかまえていただければと思います。

新宿に 19:30 ごろ到着。地震のニュースをそのあたりで知る。 夜は旧友と食事をして、1:00 ごろ帰宅。電車が遅れまくり。

Tuesday, October 12

* in Hong Kong

学会参加で香港 → マカオと移動。

香港は初なので観光を楽しむ。あんまり物価は安くない。通貨は香港ドルで 1HKD が約 15 円、マカオはパタカ (MOP) という通貨でレートは HKD と同じ。 言語は広東語。ホテルなどの施設以外では、英語があまり通じない。 単語会話くらいは何とか可能なレベル。

地下鉄でうろうろしたところ、九龍の旺角にある電脳中心で 65HKD の USB-Serial を発見。平均 80HKD 程度。やっぱ日本のは高いようだ。 USB hub はさらに安く、4 port で 18HKD。いくつか買ってみたところ、 動作は問題なし。入手経路を工夫すれば、ずっと安く構成することができそう。

食事は中華とポルトガル料理。なかなかおいしい & それほど高くはない。 水道水は「飲めますよ」と書いてあるものの、さすがに試す気にはならない。 店頭販売している水は、蒸留水とミネラルウォータの 2 種類で、蒸留水 500ml が 5HKD と、ちょっと高め。スーパーマーケットには日本製の食料品が多数あって、 レストランや店先で物を売っている店員は、「おいしい」とか「安い」とか、 日本語を知っている人がそこそこいる。

空気が悪く、町全体がスモッグに覆われたような感じ。 ビルの工事では足場を竹で組んでいて、ちょっとびっくり。 20 階くらいある建物でも、ずっと上まで竹 (ものすごく長い) で組んだ足場で作業してる。

香港城市大学に行ってみる。なかなかきれい。クラブの勧誘をやっているのか、 大声で騒いでいるところをざっと歩いて、軽食堂で食事をする。

学会はマカオ大学で行なわれるので、フェリーで移動。 カジノと遺跡以外には何もない感じ。いたるところで工事をしている。 香港よりも、さらに英語が通じない。大学は高台にあり、歩くとかなりしんどい。 夜中でも学生がうろうろしていたので、治安は悪くないのかも。

マカオ大学のターミナルルームから SSH で日本にアクセスするも、 外部とのリンクが低速なのか、パケットがなかなか返ってこない。 WWW はかろうじて使える。

conference はつつがなく進行。韓国・台湾・香港あたりの大学の人が話す英語と native な英語の落差が気になる。自分の発表は最終日なので、とりあえず院生の発表を見守る。 質疑応答に対して、笑顔でフリーズするのはやめましょう。

ひと段落したところで 2001 年にできたというマカオタワーに行ってみる。 ここでは命綱をつけて、タワーの外周部を歩けるそうな。 行った時間が遅かったので、歩くことはできなかったのだけど、 展望台には足元がアクリル板になっているところがあって、なかなか怖い。 名所案内用にタッチパネル式のコンピュータが置かれていたので操作していたら、 一般保護例外でシステムが落ちた。弱い。

conference banquet はポルトガル料理。会場で 3 人くらいのバンドが歌を歌っていたのだけど、ちとうーむ、なレベル。 Carpenters を歌ってたと思ったら、最後は Ricky Martin になりおった。 どういう雰囲気づくりをしたかったのか謎。

Friday, October 8

* Serial console (continued)

シリアルコンソールを考えるというページを発見。 ルータとかアクセスサーバを使う例が書いてある。すばらしい。

FreeBSD をコンソールサーバにするなら comms/conserver-com がおすすめ。SSH 鍵で認証できるので、 多人数で共用する場合なんか便利です。 バージョンが上がってから設定ファイルの書式が大幅に変わっているので注意。

* tapping device

「keykatcher というのもありますよ (レポート)」 とのメールをいただく。

Sunday, October 3

* Serial console (continued) (→ previous)

USB-Serial 変換は秋月で安いものが手に入るとのこと。情報どうもです。 1,200 円で買えるものがあるということは、USB hub の安いものを選べば、 玄人の PCI カードと同じ水準に持っていけそうな感じですね。 さっそく買って、動作を確認しようかと思い中。 そういえば、最近は秋月に行ってないなぁ。

* tapping device

キーボード操作を全部記録してメモリに蓄積し、 あとで見ることができるデバイスがあるそうな。 こんなの付いてたら、恐くて使えないぞ。

電源タップに仕込んだ盗聴器みたいに、キーボードの延長ケーブルとかに仕込んで、 いつのまにか記録されてるなんてシナリオがありそうで嫌な感じ。

Friday, October 1

* FreeBSD 5.3-RELEASE commentary (continued)

現時点で -BETA6 まで構築・公開ずみ。 -BETA5 までのお話はこちら

BETA6 までに BIND9 の本体は入ったものの、24 日以降も「named は chroot jail の中で動くようにするぜ」とか、 「make.conf に NO_BIND_{ETC,DNSSEC,NAMED,UTILS} を追加して、 buildworld を細かく制御できるように」とか、 いろいろ細かい調整が commit される。うーむ、dougb@ の野望が今ここに実現。

こんな複雑なのを今入れなくてもいいのになぁと思いつつ、 リリースノートに書かなきゃならなそうなところをチェック。 BETA6 でも BIND9 は一応うごくけれど、変更をすべてひっくるめて BETA7 でチェックしましょう、というお話になっとります。 BETA6 の不具合も -current@ にちらほら出ていて、6-CURRENT には それらの修正が入りました。こちらも BETA7 までには merge される予定。

-BETAx はどうやってつくっているかというと、 単に構築担当者に「今の時点で作ってちょ」とお願いして、 構築物を FTP サーバに置いているだけです。 FreeBSD/sparc64 の構築はマシンが遅く、完了まで 1-2 日かかるので、 金曜日に構築を開始すると、順調に進んだとして日曜日の午後あたりの公開になります。 ちなみに日本時間では月曜日の朝です。BETA7 も、そのあたりになる見込み。

で、BIND9 は、まあ片付いたわけなんですが、もうひとつ懸案事項が浮上。 kris@ がまとめたところによると、5.x の共有ライブラリには、4.x に含まれていたシンボルのいくつかが削除されてしまっているものがあり、 このままでは 4.x で作成した ports の一部が 5.x で実行できない事態が発生する、とのこと。 簡単な試験プログラムを書いてみると、 確かに、実行しようとすると「シンボル xx が見つかりません」というエラーになるライブラリがある。

これはまずいぞ、ということで、とりあえず問題のあるライブラリの洗い出し。 「なんで互換性がなくなった時点を把握して、ちゃんとバージョンの管理をしないのだ」 という反省点が指摘される。まあそれは正論なのだけど、 さしあたり今、何をすべきかを考えなくちゃならない。 結局、互換性のなくなったライブラリのバージョンをあげる、 という方針を -current@ に発表。かなり微妙な問題なので、議論継続中。 非互換部分を機械的に抽出するのが困難なので、非常にやっかい。

* Absolute BSD 日本語版 (continued)

出ました。今月は前半がかなりどたばたしているので、 サポートページは今月末までに何とか作る予定です。