優雅な生活の設計と実装

The Design and Implementation of the Gracious Days


LAST MODIFIED: 2008/07/20 14:16:33 UTC

新しい秩序の確立は、他の何にも増して難しく、
成功する可能性が低く、危険な事業である。
改革者は旧秩序から利益を得ている
全ての者を敵にまわし、
新秩序から利益を受けるはずの者からは
及び腰の支持しか集められない。
--- Niccolo Machiavelli, The Prince

この種の「保護」は初心者を保護するかも知れないが、
熟練ユーザを窮地に追い込むことになる。
というのは、何が親切であり、何が適切でないかかという
オペレーティングシステムの考え方の裏をかくことばかりに
かなりの労力を費やさなければならないからである。
--- A.S.Tannenbaum, Modern Operating Systems


不定期更新の日記です。ディスクスペースの関係上、 あまりに古くなったものは順次消していきます。 この日記の更新は、今野さんの *BSD Diary Links から取得することが可能です。

July 2008

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Sunday, July 20

* FreeBSD Core Team Member Election

新メンバ決定。 kris と peter の人気はさすがだ。任期は 2010 年まで。

* FreeBSD Foundation

今年の 5 月から、board member になりました。何か建設的なことをしたいところ。

「XXX Foundation って何やってるの?」ってのは、 あまり知られてないような気がするので、簡単に書いてみる。 検索してみたら、開発主体であると考えているひともいるみたいだけど、 少なくとも NetBSD 以外の *BSD に関しては正しくない。 たぶん、Linux とか Apache, Mozilla についても、 foundation が開発主体になるというのは、すごく特殊な状況だと思う。

XXX Foundation という組織をつくる理由は、お金の管理をしたいというのが第一である場合が多い。 開発者チームは、結局のところ開発に興味を持っている人の集まりでしかないので、 お金を管理したり、どこかと契約をするということが難しい。 そこで、法人格を持った組織をつくることで、資金管理や契約を可能にするわけだ。 営利企業にすると税金が高いので、文化的な活動を名目とするチャリティ企業にすることが多いのだけど、 米国ではそういう名目で税金控除が得られる foundation という法人区分がある。 俗に IRS/IRC 501(c)(3) (日本語で書くと「米国内国歳入庁 内国歳入法典 第501条(c)(3)」とかになる) という法律で、どういう活動が控除されるか規定されているので、501(c)(3) 団体、と呼ばれることもある。

要件を満たして認可を受ければ、法人を設立できる。 501(c)(3) として認められるにはいくつかの条件があるが、オープンソースのソフトウェア開発の場合、 文化的活動であり、収入源の大部分が不特定多数からの寄付 (public support) であり、営利団体でないという、「コミュニティ財団」としての条件を満たす必要がある。 2004 年に「FreeBSD財団に年末までに少額の寄付を」という話があったけれど、 これは、特定のところからの寄付で収入が構成されている場合、 public support がない、ということで 501(c)(3) の要件を満たせなくなってしまうことによる。

設立できれば寄付を募集したり、 他の企業と開発やソフトウェアの利用に関する契約を結んだりできるわけだけど、 開発者チームと直接的な関係を持っているとは限らない。

FreeBSD Foundation の構成員は board member のみで、開発チームとの直接的な関係はない。 現在のメンバは開発者がほとんどではあるものの、 その立場から開発内容に意見する権限はないし、board member が開発者である必要もない。 もちろん、「FreeBSD の発展に寄与する」ことを設立目的としているので、 寄付を募って開発者に資金を回したり、Java のバイナリ配布のように、 企業と交渉したりする役割を担っているものの、基本的には「開発を支援する第三者」の立場。 法人格を持つ立場で、どういったサポートをしていくか、が鍵になるわけだ。 FreeBSD のロゴ、商標の管理、そういったものも守備範囲になる。 当然ながら、開発者との関係を良好に維持しなくちゃならない。

Liunx ではサポートを提供する企業が同じような支援をしているが、 本体が営利目的であるという点が異なる。Linux Foundation が企業コンソーシアムとして設立されているのは、 そういった営利企業間での、Linux への寄与に関する集約や調整が目的になっているからではないかと思う。 ちなみに Linux Foundation は 501(c)(6) 団体であり、501(c)(3)ではない (個人の寄付は税金控除の対象にならないなど、範囲が狭い)。 似たような名前だけれど、やっていることはかなり違う。 少なくとも、開発主体と呼べるようなものではないことは確か。

NetBSD Foundation (TNF) は、ソースコードにコミットする権限を持つ人 == TNF の構成メンバという形になっていて、開発主体と呼べなくもない。 こちらは 501(c)(3) 団体。開発を支援する法人として担っている役割は、 FreeBSD Foundation に似ている。

OpenBSD Foundation は、カナダに本拠地を置くので IRS の区分は適用できないが、 カナダの法律では、登録チャリティ団体になると税金控除が受けられるようになる。 ただし、現在の OpenBSD Foundation は法人格はあるものの登録団体ではない。 設立の動機は、企業からの寄付を受け入れやすくすることにあるようで、 FreeBSD や NetBSD とあまり変わらない (インタビュー記事)。

ちなみに、Free Software Foundation は 501(c)(3) 団体だ。 こういう類の財団としては最古参であり、なんと歳入は 832,175 USD (2006/9 の決算書)。 8 千万円以上の予算が組まれてている。FreeBSD Foundation は、昨年に寄付額が倍増したため、 2008 年度予算を 250,490 USD で構成している。だいたい、1 千万円から 2 千万円程度の規模を維持している、といったところかな。

‥‥とまあ、自分がやる立場になったので、 他所様のところも含めていろいろと調べてみました。 メンバの定期ミーティングのテーマは、 基本的に「何にお金を使えばみんな幸せになれる?」なので、アイディア募集。 次回、「Core Team って何をやってるの?」に続く。

* Experimental FreeBSD Snapshots

というのは嘘で、続きません。

前々から FreeBSD の daily snapshot build をどうにかしなきゃ、 と思っていたのだけど、ちょこっと時間がとれたので FreeBSD Daily Snapshots のページをつくってみました。pc98 以外は native build で、 毎日更新してます。 といっても、7/21-23 はディスク容量増強の保守作業で、断続的に停止予定ですが。

まだ試験的なものなので、URL が変わる可能性があります。 ミラーしたい人がいるかどうか分かりませんが、まだしないでください。

powerpc と ia64 はほとんど触った経験がないので、試行錯誤しながら勉強中。

* HP DL140 G3

メールサーバ用に DL140 G3 (SATA の安いやつ) を使っていたところ、 ディスクのアクセス速度がえらい遅いことが判明。 ディスク負荷にひきずられて、 他の処理も遅くなってしまって使いものにならないぞ、ということで調査。

/boot/loader.conf に次のおまじないを追加すると幸せになれます。

hw.mpt.enable_sata_wc=1

これは writeback cache を有効にする knob なので、 電源断とかでデータが壊れるのがどうしても嫌なら、 入れてはいけません。

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