優雅な生活の設計と実装

The Design and Implementation of the Gracious Days


LAST MODIFIED: 2004/12/15 09:51:38 UTC

新しい秩序の確立は、他の何にも増して難しく、
成功する可能性が低く、危険な事業である。
改革者は旧秩序から利益を得ている
全ての者を敵にまわし、
新秩序から利益を受けるはずの者からは
及び腰の支持しか集められない。
--- Niccolo Machiavelli, The Prince

この種の「保護」は初心者を保護するかも知れないが、
熟練ユーザを窮地に追い込むことになる。
というのは、何が親切であり、何が適切でないかかという
オペレーティングシステムの考え方の裏をかくことばかりに
かなりの労力を費やさなければならないからである。
--- A.S.Tannenbaum, Modern Operating Systems


不定期更新の日記です。ディスクスペースの関係上、 あまりに古くなったものは順次消していきます。 この日記の更新は、今野さんの *BSD Diary Links から取得することが可能です。

December 2004

感想はこちらまで (内容は匿名のメールで送られます)

コメント:

注: お返事が必要な場合は直接メールください。 ただし、確実にお返事するかどうかはわかりませんのであしからず。

発売中:「Absolute BSD〜FreeBSDシステム管理とチューニング」
[book image] [→ 書籍情報]
[→ amazon.co.jp]
[→ cbook24.com]
[→ 関連する日記のエントリ (09/24)]

Wednesday, December 15

* SMTP AUTH

今朝未明から。急にメールが送れなくなったので調査。

送信メールは LAN にあるメールサーバで動いている sendmail に集約して、最終的に外向きのものを OCN のメールサーバに SMART_HOST で投げるようにしている。 今まで特に問題なく動いていたはずなのだけど、 いくつか実験してみたところ、envelope from/to の両方を ocn.ne.jp 以外に変更して投げると、554 Relay access denied で返ってくるもよう。

そういう制限でもはいったのかなぁ、と telnet で直接 OCN の SMTP サーバにアクセスしてみると、 envelope from/to に OCN 以外のアドレスを書いてもちゃんと送れてしまう。 どうも、メールサーバの sendmail で relay させたやつだけがはじかれているみたい。 つぎのようにして SMTP レベルでのやりとりを調べて、 それとまったく同じ内容を telnet 接続で手動入力しても、 relay させたものははじかれて、手動で入力したものは配送される。

echo test | sendmail -Am -v -O LogLevel=15 -d95.5 hrs@example.org

原因がよくわからないけれど、とにかくメールが送れないのは困るので、 とりあえず外部の MX に SMTP AUTH の設定を入れて、 SMART_HOST の送り先をそっちに変更しよう、と cyrus-sasl2 を入れる。 しかしここでまた、認証がうまくできなくてはまる。

sendmail を再構築してユーザを追加して、と必要な設定をしたにもかかわらず、 どうやっても no user というエラーになる。 まず cyrus-sasl 側なのか sendmail 側なのか切り分け。 utils/testsuite.c を使ってみると、特に問題なく認証できる。 そこで cyrus-sasl 側のログに authid と realm を表示するように変更したところ、 SMTP AUTH を使った認証時に realm が M-^Aw.M-^Am という、 変なものになっているのを発見。 マニュアルには「デフォルトでは $j になるよ」と書いてある。 一方メールサーバの sendmail.cf には Dj$w.$m を入れているので、 それが影響しているようだ。 O AuthRealm というオプションで設定することができるようなので、 そこに realm を設定したら、設定どおりに動くようになった。

どうしてメールが送れなくなったのかという問題の根本的な解決にはなっていないような気がするものの、 詳しく調べる時間や気力がないので、さしあたりこれを使うことに。 telnet で直接アクセスした時にはきちんと送れているので、 ローカルの設定の問題なのかも知れず。

まあ、今まで使えていた設定で急に送れなくなったので、 OCN 側で何か変わったという予想は、 それほど外れていないと思うのだけど、真相はいかに。

Monday, December 13

* FreeBSD Expert 2005

買ってみました。記事によっては内容がちょっと微妙なような...

今回は gnn@, nectar@, hsu@ のインタビュー記事が載っています。 日本の雑誌で開発者インタビューを載せているものを見るたびに思うのですが、 インタビュアーは十分に下調べをやっていないような気がします。 たとえば gnn@ へのインタビューの 2 番目の質問はひどいものだと思いますし、 他のものも、全然その人の specific な話題をほりさげていなくて、 なんとなく違和感を感じます。

佐藤が個人的に良いと思う例は、たとえば ONLamp の記事にある DragonFly の開発者へのインタビューなんかがそうです。 インタビュアーの Federico Biancuzzi という人は、Henning Brauer (PF の作者) や Marc Espie (OpenBSD developer) へのインタビューもしているのですが、 ちゃんと開発やその当時のプロジェクトがかかえる技術的・政治的問題を突くするどい質問をしていて、 読んでいてとても参考になります。おそらく質問を考える前に、相当勉強しているのでしょう。

もっとも、こういうインタビューの方がいいと思っている人が多くて、 佐藤の意見は少数派なのかも知れません。 ここ数年、海外の BSDCon や国内のイベントに参加してみた経験から感じたことは、 どうも日本で技術的な話題を中心に持ってきた何かを企画したとしても、 それに情熱を傾ける人はあまりいないのだな、ということだったりします。 詳しい事情は知りませんが、雑誌記事もそういう傾向があるのかなぁ、 と根拠もなく考えてしまいました。

その他、まだ全部読んでませんが重箱の隅。 p.92 の VuXML について。portaudit は VuXML を使っていません。 間接的に使うことは可能ですが、VuXML とは違うデータベース形式を採用しています。 VuXML は ports の vulnerability の管理が難しかったことから nectar@ が開発したもので、目的は「情報をデータベースとして蓄積すること」です。 FreeBSD の Security Advisory がどうこう、というくだりは関係ないと思います。

p.95 の DragonFly について。DragonFly は「FreeBSD の一種」ではありません。 ここのコラムの説明は意味不明な箇所が多いです。 「TCP コネクションが CPU の数だけ張れる」ってどういう意味なんでしょう...

Monday, December 6

* in Taiwan

学会参加で台湾へ。旅程は台北→高雄→台南→台北。台湾は初めて。

今回は前半が学会@台南なので、初日は成田→台北→高雄と乗り継ぎ、 高雄からタクシーで台南へ移動。通貨は新台湾ドルで 1NTD が 3.2 円。 言語は基本的に北京語か台湾語。若い世代は英語が使えて、 日本統治時代を経験している高齢者は日本語が使える人もいる。

台南はとにかくスクーターだらけ & 空気が悪い。 車の運転もかなり荒く、高速ですき間を縫うように走っている。 町のビルは一階部分が引っ込んでいるアーケードのようなつくりになっており、 そこを歩道として使う。日差しが強いので、それを避けるためなのだとか。 ただ、店がその歩道を自分勝手にデコレーションしているので、 段差だらけで歩きづらい。

12 月の気候は最高気温が摂氏 27 度、最低が摂氏 19 度程度。 日差しは強いものの湿度は低く、すごしやすい。 現地の学生いわく、夏は湿度が高いので来ないほうがいいよ、とのこと。

台南のホテルはなかなか豪華なところで、ネットワーク利用に追加料金は必要なし。 日本までの RTT は 44ms 前後。夜間は混雑して遅くなるものの、十分快適。

前半は学会に参加しつつ、空き時間にうろうろ歩きまわる。 三越など、大型の百貨店をいくつか発見。書店は中文版ばかりで英語は皆無。 マンガ専門店や、マンガ喫茶のような店もいくつか発見。もちろん中文翻訳版。 かなり最近のものまであるもよう。

コンビニは便利商店と書かれていて、 ファミリーマート (全家) がいたるところに。 夜食を買おうと中に入ってみるも、 外包装は北京語だけなので、パンなどの中身がよくわからない。 おにぎりとパンを適当に買ってみる。

史跡くらいしか見るところがないので、台南孔子廟に行ってみる。 日本語が話せる人がいたので話を聞いてみると、 昭和天皇が皇太子時代に来たそうな。また、 一番新しいものは陳水扁とか李登輝の書いたものが飾ってある。 偉大な人をごった煮で奉っているのが、ちと奇妙な感じ。 選挙前で、まわりは非常にやかましい。

学会中は質問をしまくる。自分の専門のセションが半数以上 no show という、かなり情けない状況だったのだけど、5 セションのパラレルで 1 部屋の収容人数が 10-15 人程度だったので、質問しやすかった。

学会終了後、台北に電車 (自強號) で移動。所要時間は約 4 時間。 日本の特急に近いような気がする。 景色は工業地帯と農耕地帯を行ったり来たり。 前日に駅前で乗用車が炎上したとかいうニュースをやっていたので心配だったけど、 特にトラブルなく到着。

台北に移動後は、台湾大学の Ph.D student と交流会。 2 時間くらいしゃべった後、車を出してもらってその中の 3 人と食事に行く。 食事はなかなかおいしい。中華料理はあぶらっぽいものが多くて、 香港の時は食傷気味だったのだけど、こっちではそれほど気にならなかった。 海外で食事が気にならなかったのは、初めてかも。

台湾大学の学生といろいろ話す。研究環境が恵まれていて、 ちょっとうらやましい。ISSCC に複数件 accept されているというのはすばらしい。 やっぱりきちんとチップ試作できるところはいいですな。

学生の中のひとり、林さんに電気街 (光華商場) まで連れていってもらう。 PC の店だけでなく、電子部品を扱っている店もある。 雰囲気は昔のラジオ会舘 or ラジオデパートに近い感じ。 25V47uF の小型の電解コンデンサが一個 6 NTD (18 円) くらい。 その他もちょっと安いか、同程度。74 シリーズの他、BJT は 2N* だけでなく、 日本の 2S* もある。USB メモリが 512MB で 980 NTD (3136 円) と安い。

台北のホテルは日本のシティホテル並のところ。 ネットワークは 200NTD/24hrs だったので、とりあえず注文。 電話回線に接続するセットトップボックスを持ってきて設置してくれた。 しかし 2 時間ほど経ったところで急に切断されてしまう。 電話回線側のキャリアを示すランプが消えていて、 5 分ほど待ったけれど回復しないので、再度フロントに電話。 最初の人は英語が通じなくて、何度か繰り返して説明したあげくに他の人に交替。 あらためて事情を話すと、どうも他の人の回線と間違えて切ったらしい。 もうちょっとちゃんと仕事してくださいな。

帰りは中正国際空港から CI。「ホテルからタクシーで 1 時間くらいだよ」と言われたので、フライト時間から 3 時間 30 分くらい余裕を持ってタクシーを予約し、 それまでの時間、地下鉄を使って周辺をうろうろする。

CD 屋に入ってどんなもんだろう、と見ていると、 足元をでかいネズミが疾走。こっちもびっくりしたけれど、店員のほうもびっくりしてた。

時間になったのでタクシーに乗ると、高速道路の混雑で、結局 1 時間 30 分かかる。さらに搭乗ゲートでは地上業務の遅れで搭乗時刻が 20 分遅れるなど、定刻どおりものごとが進まない。

なんというか、 言語が違うのを除けば国内旅行をしているような感覚だった。まる。