LAST MODIFIED: 2007/03/14 21:09:04 UTC
不定期更新の日記です。ディスクスペースの関係上、 あまりに古くなったものは順次消していきます。 この日記の更新は、今野さんの *BSD Diary Links から取得することが可能です。
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FreeBSD/NetBSD は、影響なしとのこと。
ちと内容的に問題があるのではなかろうか。
FFS の meta-data integrity は同期書き込みが前提なので、 unreferenced inode が lost+found に保存されるってのは、 普通発生しないような気がします (ディスクが物理的に壊れたとかなら別だけど)。 むしろその状況 (unreferenced inode が出るような) は Soft Updates の場合に頻繁に出るので、fsck は Soft Updates が有効かどうかでそのあたりの処理を変えてます。 「予測可能な不整合」と「予測不可能な不整合」は、ちゃんと区別すべきで、 不整合がひどいと lost+found にファイルが残って、軽ければ残らないよ、 みたいな単純な話にしてしまうのは、大きな誤解を招くと思います。
Soft Updates を有効にすると fsck が要らないよ、 というのはある意味正解ですが、不整合 (もちろん予測可能な、という意味の) が出ないわけではない (具体的には、実際には使われてないのに in use になっている inode を reclaim しなくちゃだめ) ので、integrity という点からは fsck は必要。そして、同期書き込みの FFS に比べて、block bitmap の整合性が常に保証される点と、非同期書き込みが使えるというところが特長です。 background fsck は、その reclaim 処理に snapshot を使ったよ、というだけで、 マルチユーザモードとかシングルユーザモードという話は あんまり関係がないです。ジャーナルに比べて Soft Updates の方がコードが複雑、 というのも根拠が不明。個人的には、FFS のコードはそもそも複雑なので、 何を入れても複雑なのでは、と思うところ。
ups の Bulffs は、満足に聞いている時間がなかったので スライドだけざっくり読んでみたけれど、基本的には write-ahead logging で、ジャーナリングの原理の部分だけ見れば、 それほど新しさはないのではないかと思います (発表で何か言ってたのかも知れないけれど)。 問題は、これでちゃんと性能が出るかどうか、ではないでしょうか。 コードつくってから発表しようよ、というのが素直な感想。
それはともかくとして、FreeBSD に journaling FFS を入れよう話は、 出ては消えているので、ups にやらせよう、 という流れになりつつあります。
もういくつか誤解されてそうなところを補足。
AsiaBSDCon は、第一回目が台湾で行なわれて今回が二回目、 という表現を公式にも使っていますが、連続しているわけではありません。 もちろん、第一回目のスタッフとのやりとりはしていますが、 基本的には、まったく別ものと思った方が良いでしょう。
EuroBSDCon, BSDCan, USENIX BSDCon, FreeBSDCon 等、 BSD 系の会議はたくさんあります (というか、あるように見えます) が、 実は、それらの間の関連はほとんどありません。 USENIX'04 でやった UseBSD (SIG session の一部) とかも同様。 やりたいと思った人が企画してやっている、という感じで、 同じ名前の会議でも、その連続性は希薄です。 地域・時間を分散させて国際会議を体系的にやろう、 という大きな動きがあるわけではなくて、 企画している人が力尽きると、その会議はなくなっちゃいます。
歴史的には、FreeBSDCon → USENIX BSDCon → (EuroBSDCon, BSDCan) という風に並べることができますが、それぞれ別ものだと思って良いでしょう。 なので、これらを総称して BSDCon と呼ぶのも不適切 (BSDCon と表現したのは USENIX のやつだけ)。 後藤さんの記事で BSDCan を "BSD Conference Canada" と表現している箇所がありますが、少なくとも dvl はこういう名称を一度も使っていないので、 間違った表現だと思います。
FreeBSD DevSummit については、そもそも広く公開すべきでない (公開するなら参加者の同意をとるのが最低限必要) と個人的には思うので、 個人の日記に書くようなものならともかくとして、 商売で記事にするのは、いかがなものかと思います。 今回はそうでもなかったのですが、オフレコな話が出ることもあったりするので、 そういうのが非常に心配。
終了。おつかれさまでした。どんな内容だったのかな、というのは 誰かがレポートしてくれることを期待するとして、 内容とはあまり関係のない部分をいくつか。
参加人数はレジストレーションが 190 名弱 (スポンサー企業からの展示要員等を含む)、 実際に来場した人は 170 名程度。とは言っても、チュートリアルだけという人や、 一日だけ参加という人もいるので、会場に同時にいた人数は 80-130 名くらいの範囲でした。
外国人の参加は 30% 程度で、国内に在住している人と海外から来た人が 6:4 くらいの割合。 海外からは US, UK, Poland, Switzerland, Germany, Finland, Norway, Russia, China, Hong Kong, Taiwan, Australia といったところ。
前半2日間のチュートリアル受講者は、full-day が 35 名、half-day (5 クラス) が平均で 10-15 名程度。平日だし参加費もかかる、ということで、 当初は、参加人数の最低を 80 として高々 130 程度、 かつチュートリアル受講人数は参加人数の 20% 程度だろう、と予想して準備を進めていました。 しかし 3/3 に事前登録を締め切った段階で、最低でも 150 に達することが分かり、 大幅に上方修正する羽目に。会場の収容人数から考えると、ちょっと厳しい数字でした。 採録論文は 16 本。1 スロット 1 時間という長丁場なので、招待講演を含め 1 日 10 時間と、時間的にも詰め込みです。
まあ、いろいろ反省点も山盛りです。ただ、 準備は時間的・予算的・人員的に、かなりきつい制限があったため、 ある程度はどうしようもなかったかな、と思っています。 自分の持っている国際会議の参加/運営経験 (大したものは持ってませんが) をもとに、 手を抜けるところは極力手を抜いて、 逆に妥協してはいけないところは妥協しないでやる、 というのを心がけたつもり。
murray からはカリフォルニアワイン、mbalmer からはスイスのお菓子と EuroBSDCon 2005 Proceedings と OpenBSD Puffy のぬいぐるみ、 mckusick からはサイン入りの History of the Berkeley Software Distributions の DVD を頂く。感謝。
今回つくった名札。ちなみに TeX
です。大量のデータから印刷物をつくる時には、やっぱり便利。
kirk 写真を撮る、の図。 下には表面にカンファレンスロゴを入れた記念カステラがあります。
文明堂に特注した10斤の大型カステラ (5.8kg) なのでカメラフレームに入らず、
椅子の上に乗って撮ってました。
技術的な側面を重視した国際会議を日本で、というのは 2002-2003 年ごろにもちょっとだけ話があって、 ずっとやりたいな、と思っていました。 紆余曲折はあったものの、何とか形にできたので、 個人的には満足です。ご協力いただいた皆様、 ありがとうございました。
AsiaBSDCon に次回があるかどうかは未定です。 現時点では、予算のあても、スタッフのあてもありませんので、 そういった面が遅くとも開催から 8 カ月くらい前までにクリアにならないと 難しいでしょう。
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